FUJIMURA
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月刊「フォトコン」連載撮り下ろし企画(8月号)

月刊「フォトコン」連載撮り下ろし企画(8月号)

8月号

〈解釈〉
聞こえる音があれば、見える音もある。写真で音を表現するために何を感じさせるのか。そもそも現実では写真から音が聞こえるはずが無いので、音以外の感覚で表現すべきと解釈。自分なりの答えは、視覚と焦り。

〈思考〉
まずこの写真を不快に感じる人もいるだろうが、敢えての表現なのでご理解頂きたい。頭に思い浮かべたのは“Emargency”。緊急事態において鼓動は高鳴り、場合によっては停止する。鼓動を視覚化出来ないかと考えた。

〈表現〉
急を要する場所、消防、救急、警察などのうち、最も「心音」を感じる場所として病院を選び、救急車の赤色灯を入れる事によるドキュメント性と、心音が目視できる物体として、心電図を合成して表現しようと考えた。

〈ストーリー〉
アイデアをイメージした時、この表現には非常に難しい問題があると気づいた。それは、「心電図の線」を撮る事が難しいという事。当然私が心電図の機械など持っている筈もなく悩んでいたが、運良く撮影させて頂くことが出来た。これが無ければ作品は仕上がらない。まずは医師の先生に感謝せねばならない。
この写真は2枚を合成している。少し派手な設定で仕上げる事により視覚的な緊張感を上げ、見る方の心拍数も上げたいと考えた。血圧まで上げてしまっていたら、それは申し訳ない。全体的な高コントラストとアンバー色の中に青く鈍く光る心音は、それが消える瞬間も捕らえている。鋭い光条が宇宙へ旅立つ魂のようにも見え、音と同時に命も感じられる作品に仕上がった。

LUMIX DC-S1
SIGMA 14mmF1.8 DG
F16 30秒 ISO100
(多重合成)