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月刊「フォトコン」連載撮り下ろし企画(9月号)
9月号
〈解釈〉
「色」について写真に表すことは、色が最重要項目にある夜景を多く撮影する私の得意分野でもあるが、企画撮影においてそのままズバリで良いのかどうか、天の邪鬼な私はつい斜め上からテーマを見てしまう。しかし今回は素直に見たままの色について考えてみた。
〈思考〉
近年私は日本古来の伝統色に興味があり、古くから伝わる色の良さを改めて感じる事が多い。伝統の色を夜景というモチーフで表してみたいと考え、表現の中にどのように組み込んでいくか試行錯誤した。詳細は本文にて解説した。
〈表現〉
この写真には大まかに、空のブルー、右側のアンバー、左側の薄茶色の3色構成で成り立っている。トワイライト時の美しい時間に、ガラス張りのビルを狙い、好みの色を伝統色として分かりやすく表現するために、シンプルに分割される構図で撮影した。
〈ストーリー〉
夜景には様々な色がある。多くは人工の灯り。照明の持つ色が写真に変化をもたらせる。色をうまく利用出来るか否かが夜景撮影の肝になる。
まず、この写真で最も目を引く色は中央から右側のアンバーだろう。今回私はこの色を”飴色”だと認識した。古くからの水飴は美しい飴色をしており、透明感のあるガラスは甘く美味しそうに見える。そして空の色は天色。あめいろともあまいろとも読む。同じ”あめいろ”でも飴色とは正反対だが、これも美しい。そして左側は”亜麻色”である。そう、私が感じていた色は、全て”あめいろ””あまいろ”だったのだ。
伝統色がもたらす奇跡のコラボレーションとでも言うべきか、日本古来の色に当てはめてみて初めて分かる色の組み合わせになった。
水飴が食べたくなった。もちろん私は甘党である。
FUJIFILM X-H1
XF18-135mm
F7.1 1/3秒 ISO400